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自工会 正副会長が愛車熱弁! あふれる"モビリティ愛" 止まらぬトーク

2025.11.12

東京ビッグサイト(江東区)で開催中のジャパンモビリティショー(JMS)2025では、各メーカーによる展示だけでなく、さまざまなイベントが実施されている。

一般公開に先駆けて、10月30日には日本自動車工業会(自工会)の正副会長7名による、「モビリティ愛」をテーマにしたトークセッションがあった。

 

普段の自工会会見ではスーツにネクタイという姿をよく見るが、この日は各自が実際にドライブに出かけるときのファッションで登場。思い入れのあるクルマやバイクを前に、それぞれの「ここが好き!」という想いを熱く語り合った。

手がかかるほどいとおしい

佐藤恒治 副会長(トヨタ)が披露したのは、1988年に生産した初代MR2*。小型乗用車として日本初のミッドシップエンジン車だ。
*発売開始は1984年。

 

2024年に前オーナーから譲り受け、整備すること1年。今夏、ついにドライブする夢が叶ったというが…。

佐藤副会長

 

当時はまだ、エアコンがオプションなんですよ。

(司会)付いてないんですか?

このクルマ、実はエアコンが無くて。今年の夏、めちゃめちゃ暑かったじゃないですか。でも、どうしても乗りたくて。エアコン無しで乗ったら、人間が先にオーバーヒートしてしまいました(笑)。

でもいいクルマですよ。日本初の量産のミッドシップで。

以前トヨタイムズニュースで「僕の『クルマ好き』はどちらかというと、『つくるのが好き』なんです」と語っていた佐藤社長。司会から「ちょっと不便だったり、手をかける喜びもありますよね?」とマイクを向けられると、「自分の思う通りにならないところが、いとおしい」「子どもを育てるのと一緒みたいなところがありますね」と答えていた。

 

鈴木俊宏 副会長(スズキ)は大学卒業後、「初めて乗った」初代アルト(写真右)とマメタン(同左)を紹介。

 

1979年に誕生した初代アルトは、「低迷していた軽自動車市場を復活させ、今日の軽自動車の地位を確固たるものにした」として、2024年に日本自動車殿堂の「歴史遺産車」にも選定されている。

スズキにとってエポックメイキングなクルマだが、鈴木副会長にとっては青春時代を過ごした1台でもあったようだ。

助手席に人を乗せてドライブしていた思い出を、このように語っている。

 

「今はリアビューモニターが付いていますが、当時は無いので、助手席に手を回して後ろを見るわけですよ。そうすると…ね(笑)」

助手席とは、肩と肩が触れ合う距離感。「運転席でもドキドキしていました」と明かしてくれた。

軽トラックを使って食料品や地域の特産品、雑貨などを販売する、通称「軽トラ市」。スズキは、この取り組みを応援しており、鈴木副会長も現場へ。「軽トラ市」は11月8日、JMS会場でも開催する。

200キロ“も”?200キロ“しか”?

佐藤副会長や鈴木副会長が往年の名車を紹介する一方、最新のクルマを披露したのは、三部敏宏 副会長(ホンダ)。今年9月、25年ぶりに6代目が発売された新型プレリュードは、三部副会長自身も初期から開発に携わってきたという。

 

JMSプレスカンファレンスでも、「ホンダの社長に就任した当初、今のホンダを象徴する粋なクルマがほしいと、強いこだわりをもって開発に踏み切りました」と、このクルマにかけた熱意を語っている。

 

トークセッションで展示された愛車は、2週間ほど前に三部副会長のもとに届いたばかり。だが、すでに200キロほど乗っているという。(本人は「まだ200キロぐらいしか」と語っていた。)

 

イヴァン エスピノーサ副会長(日産)は、「若い時に初めて乗ってワクワクしたクルマ」としてフェアレディZをあげた。

 

通勤時などで使っている愛車は左ハンドル。その理由は、日本での人気も高いクルマだけに、「注文を奪ってはいけない」と自ら輸出先のカリフォルニアに連絡して入手したため。連絡先からは「いま日本から届いたのですが…?」と困惑されたそう。

エスピノーサ副会長にとって、通勤時の運転は「リフレッシュする儀式のような時間」だという。

 
イヴァン副会長の愛車フェアレディZ(1枚目)。2枚目はフェアレディの源流にあたるダットサンとのツーショット

設楽元文 副会長(ヤマハ)が持ち寄ったのは、2台のバイク。かつて乗っていたRZ250(写真左)と現在の愛車XSR900(同右)。

 
 

XSR900については、オーダーしたのはよいものの、カスタマーファーストということで、納車まで約1年待ちだったという。その間に社長に就任し、手に入れることはできたが、運転するチャンスが激減。「早く自由に乗りたいな」とポツリ。

 

「トラック業界40数年」の片山正則 会長(いすゞ)は、昨年世界初お披露目されたキャンピングカーの「Travio(トラヴィオ)」について語ってくれた。

 

こちらは“未来の愛車予定”ということだそう。退職後の夢は、このクルマで「孫と一緒に日本一周」。

 

あふれまくる“モビリティ愛”

トークセッション冒頭、司会からは持ち寄ったクルマやバイクの紹介は「1分程度で」と釘を刺されていたのだが、そこはクルマ屋・バイク屋のトップ。当然1分で収まるはずもなく、7人目の松永明 副会長(自工会)が語り終えるころには15分近くが経過していた。

ただ、片山会長いわく「いつもこんな雰囲気」だそうだ。

1分程度と言われていた愛車紹介。舞台裏では「絶対無理」と話していたと笑顔で明かす片山会長(右)

「クルマをつくることが好き」と話していた佐藤副会長だが、「クルマは楽しくなかったらクルマじゃない」とも語るほどクルマ愛は深い。

カーボンニュートラルに話題が及ぶと、BEV(電気自動車)一辺倒になるのではなく、エンジンへの想いものぞかせ、鈴木副会長へ「我々クルマファンを守ってください」とお願いする場面も*。鈴木副会長も“エンジン愛”で応じた。
*鈴木副会長は、自工会が掲げる7つの課題の中で競争力のあるクリーンエネルギー問題に取り組んでいる。

鈴木副会長
EV(電気自動車)が良いという人もいれば、こういうガソリン臭さというか、これからはエタノール臭さというのかもしれませんが(それが良いという人もいます)。インドでは牛糞を使っているので、もう少し臭いは違うかもしれません。

ですが、やはり内燃機関をちゃんと使って走らせるというのは、音も良いでしょうし、(これからも)楽しみたいなと思います。

自工会正副会長が思い描く未来は?

さてJMS会場に行かれた方の中には、ご覧になった方もいるかもしれないが、前回好評を博した「未来掲示板」が、今回も実施されている。「未来掲示板」は、来場者や出展者に「あったらいいな」という未来を募集、イラスト化して掲示するというもの。今回は「Tokyo Future Tour 2035」に合わせて「2035年の未来図」を集めている。

そこで、正副会長にも、それぞれの“2035年”をフリップに書いてもらった。一気にどうぞ。

〈片山会長〉

映画『トランスフォーマー』のようにロボットに変形してくれるトラック。「(荷物を目的地へ)運ぶところまではトラックで、着いたらロボットになって荷下ろししてくれたら素晴らしい」。

〈鈴木副会長〉

頭の中で意図した通りに動いてくれるクルマ。自動運転技術が進んでも「自分の思い通りに動かせるクルマが、将来ほしくなるんじゃないかなと思うんです」という言葉に周りもうなずいていた。

〈佐藤副会長〉

佐藤副会長の目下の困りごとは駐車場。若者のクルマ離れは、これが原因の一つでもあるという。「若い人にもいっぱいクルマに乗ってほしいな」という願いはクルマが小さくなれば叶うかも?

〈エスピノーサ副会長〉

クルマもバイクも「大好き」というエスピノーサ副会長。モビリティがより賢く社会とつながり、事故を回避できる世界を願う。設楽副会長の「転ばないバイク」には「私も一票」と賛同を示した。

〈三部副会長〉

一人ひとりが空飛ぶクルマを所有できる世界は、物語の中でとどまるものではない?「人間の頭の中に思い浮かんだことは、数十年後には現実になる」「決して夢ではなく実現する」と力強く語った。

〈設楽副会長〉

正副会長の中でも意見が分かれた「転ばないバイク」。ただ、より安全に乗ることができれば、バイク好きのすそ野は広がりそう。「近未来の新しい世界を新しい技術で達成したい」と熱がこもっていた。

〈松永副会長〉

自工会14社が協力して共通の基盤をつくり、そこからメーカーごとに特徴を加えていく。そんな未来が訪れると「日本の底力になっていくんじゃないかと思います」と思い描いていた。

正副会長の深いモビリティ愛から来るこだわりは、ほかにも随所で見られた。トークセッションのフルバージョンは、自工会のYouTubeチャンネルで公開中なので、気になった方はこちらからご覧いただきたい。

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