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EV・HV整備士の将来性——今のうちに知っておきたいこと

EV・HV整備士の将来性——今のうちに知っておきたいこと

2026.07.31

【この記事を書いた人】ヨッシー

アドバイザー_ヨッシー

トヨワク キャリアアドバイザー

トヨタ系ディーラー出身。現在は全国のトヨタ系ディーラー採用担当者と直接連携しながら、整備士さんの転職を日々サポート。年間100名以上の転職支援実績を持ちます。

「このままガソリン車の整備士でいて、この先も大丈夫なのか」——電動車のニュースを見るたびに、こう感じたことがある整備士さんは多いと思います。

この記事では、電動車シフトの実態、整備士に求められる資格、そして今のうちに何をしておけばいいかを、煽らず正直に解説します。

電動車シフトの実態——トヨタも電動車比率5割へ

まず数字で現状を見てみましょう。国内の新車販売のうち、EV・PHEV(プラグインハイブリッド)の比率は2026年6月時点で5.27%。前年同月の2.91%から1.8倍に増えています。

国内EV・PHEV販売比率
5.27%
2026年6月時点
トヨタの電動車販売比率
5割超え見込み
2027年3月期(HV・EV合計)

※左は自動車業界全体のEV・PHEV新車販売比率、右はトヨタ1社の電動車(HV+EV)販売比率です。集計対象が異なる別の指標のため、単純に並べて増加トレンドを示すものではなく、それぞれの規模感の参考としてご覧ください。

ここで注意したいのは、「電動車」の大半はハイブリッド車(HV)だという点です。純粋なEV(電気自動車)の比率はまだ小さく、日本市場では今もHVが主流です。「明日から全部EVになる」という話ではなく、HVを中心に、少しずつEVの比率が増えていくという緩やかな変化が実態です。

法律で決まっている「特別教育」——身構えるほど難しくはない

HV・PHEV・EV・燃料電池車など、蓄電池を積んだ車両の整備には、法律で「特別教育」の受講が義務付けられています(労働安全衛生規則の改正)。2019年10月の施行時は「対地電圧50Vを超える蓄電池」が対象でしたが、2024年10月の改正で電圧の上限が撤廃され、電圧の高さにかかわらず、蓄電池を積んだ電動車全般が対象になっています。感電による労働災害を防ぐための講習で、これを受けていないと該当する車両の整備業務にはつけません。

特別教育は「一からの学び直し」ではない
これは国家資格の取り直しではなく、感電防止に特化した講習です。すでに整備士として実務経験がある方が、追加で受講して知識を補うものと考えると、身構えるほどのハードルではありません。実施している教習機関・ディーラーの研修制度で受講できます。

さらに専門性を高めたい場合は、「自動車電気装置整備士」という選択肢もあります。これは1級・2級・3級とは別の「特殊整備士」に分類される国家資格で、電動車に関する専門知識を証明できます。1〜3級のような級の区分はなく、必須の資格ではありませんが、電動車の知識を体系的に学べる選択肢の一つです。

正直に言うと、今の求人票にはまだ反映されていない

ここは正直にお伝えします。トヨワクに掲載されている求人票を確認したところ、「EV整備の資格必須」「特別教育修了者歓迎」といった記載は、今のところほとんど見当たりません。電動車という言葉自体は登場しますが、多くは「取り扱い車種の紹介」であり、採用条件として明記されているわけではないのが実態です。

アドバイザー_ヨッシー

ヨッシーの一言

「求人票にまだ反映されていないというのは、裏を返せば『今から準備しておけば周りと差がつく段階』ということでもあります。焦って資格を取る必要はありませんが、特別教育の受講歴があるだけでも、今後の応募先の幅は広がっていくはずです。実際、国家資格やメーカー独自の検定を組み合わせて手当を積み増している会社は多く(詳しくは資格に関する記事もご覧ください)、電動車関連の資格が手当の対象に加わっていく会社も、これから増えていくはずです。」

ガソリン車の整備がなくなるわけではない

不安になりすぎる必要はありません。今の日本市場で「電動車」の主流は依然としてHVであり、エンジン・駆動系の整備知識は今後もそのまま活きます。HVはガソリンエンジンとモーターを組み合わせた仕組みのため、これまでの整備知識に電気系統の知識が加わる、という積み上げ方が現実的です。

長年の経験で培ってきたエンジン整備のスキルが無価値になるわけではなく、そこに電動車の知識を上乗せできる人材が重宝される、というのが実態に近い見立てです。

これは異業種から整備士を目指す方にとっても同じです。いきなり電動車の専門知識から学ぶ必要はなく、整備専門学校や未経験者歓迎の求人からスタートし、国家資格(3級・2級)と実務経験という土台を作ってから、電動車の知識を積み増していくのが現実的な流れです。

今からできること

確認

今の職場に、電気自動車等整備特別教育を受けられる研修制度があるか確認する

確認

担当している車種にHV・PHEVがどれくらいの割合であるか把握しておく

確認

2級・1級など、まず土台になる国家資格の取得状況を整理しておく

確認

電動車の研修に力を入れている会社があるか、求人情報を見比べてみる

確認

転職しない場合でも、上司や先輩に「電動車の研修を受けたい」と希望を伝えてみる

今の職場を続ける場合でも、電動車を担当する機会が増えている店舗であれば、手を挙げるだけで研修や実務経験を積めることがあります。転職しなくても、今の環境の中でできる備え方は十分にあります。

よくある質問

今からEVの勉強をしておくべきですか?
必須ではありませんが、備えておいて損はありません。特に「電気自動車等整備特別教育」は法律で定められた講習なので、機会があれば早めに受けておくと、担当できる業務の幅が広がります。
今の職場に電動車の研修制度がない場合、どうすればいいですか?
研修制度が整っている会社への転職も選択肢の一つです。求人票だけでは研修体制の充実度が分かりにくいこともあるため、気になる場合はCAに確認することもできます。
ベテランの整備士でも、電動車の知識はゼロから学ぶのですか?
エンジン・駆動系の基礎知識はそのまま活きるため、ゼロからのスタートではありません。HVはエンジンとモーターを組み合わせた仕組みのため、これまでの経験に電気系統の知識を積み増していくイメージです。
未経験からEV整備士を目指すことはできますか?
現時点では、EV・HV特有の資格を条件にする求人はほとんどなく、まずは国家資格(3級・2級)の取得と実務経験を積むのが基本のルートです。整備専門学校に通って3級・2級取得を目指すルートと、未経験者を受け入れる求人から実務を積みながら資格を取っていくルートの、大きく2通りがあります。電動車の知識は、そのどちらのルートでも、整備士としての土台を作ったうえで上乗せしていく形が現実的です。

まとめ:焦る必要はないが、知っておく価値はある

電動車シフトは緩やかに進んでいますが、「今すぐ何かしなければ取り残される」という状況ではありません。求人票にもまだ大きくは反映されていないのが実態です。

一方で、法律で定められた特別教育を受けておく、電動車の研修体制がある会社を知っておくといった備えは、これからの選択肢を広げてくれます。

転職するつもりがなくても、今の職場でどう電動車の知識を積んでいけばいいか、CAに相談することもできます。「今の職場で電動車の経験を積めるのか」「研修が充実した会社を知りたい」という段階でも、ぜひご相談ください。

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