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整備士のサービス残業は「当たり前」じゃない——残業代・有給の法律ルール

整備士のサービス残業は「当たり前」じゃない——残業代・有給の法律ルール

2026.07.03

【この記事を書いた人】ヨッシー

アドバイザー_ヨッシー

トヨワク キャリアアドバイザー

トヨタ系ディーラー出身のキャリアアドバイザー。現在は全国のトヨタ系ディーラー採用担当者と直接連携しながら、整備士さんの転職を日々サポート。年間100名以上の転職支援実績を持ちます。「残業代が合わない」「有給が取れない雰囲気」という相談は今も多く、労働条件の正しい知識をお伝えしたいと思いこの記事を書きました。

「残業しているのに給料が思ったより少ない」「有給を申請しにくい雰囲気がある」「みんな遅くまで残っているからサービス残業が当たり前になっている」——整備士の方からよく聞く話です。

ただ、これらのほとんどは「当たり前」ではなく、法律上の権利が守られていない状態です。転職するかどうかに関係なく、自分の権利を知っておくことは大切です。

この記事では、整備士に特に関係の深い労働法の基礎——残業代・有給・サービス残業——を、難しい法律用語を使わずに解説します。

残業代は「全額もらえて当然」——法律が定めるルール

労働基準法では、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いた場合、割増賃金を支払うことが義務付けられています。

時間外労働(月60時間以下)
25%以上
通常賃金に上乗せ
時間外労働(月60時間超)
50%以上
中小企業も2023年4月から適用
深夜労働(22時〜5時)
25%以上
時間外と重複すると50%以上
「みなし残業(固定残業代)」に注意
求人票に「固定残業代 〇万円含む」と書いてある場合、その時間数を超えて働いた分は別途支払われなければなりません。「固定残業代があるから残業はいくらしても同じ」は誤りです。

自分の残業代が正しく支払われているか確認するには、実際に働いた時間数と給与明細の残業代を照らし合わせるのが基本です。タイムカードや出退勤記録(スマートフォンのGPS記録・メールの送受信時刻なども証拠になります)を手元に残しておく習慣をつけましょう。

有給休暇は「使っていい権利」——取れていない人が多い理由

有給休暇は、労働基準法で認められた労働者の権利です。会社が「うちは有給を取れない」と言っても、それは法律上通りません。

入社6ヶ月後に付与
10
週5日勤務・全日出勤の場合
年10日以上付与された人は
5
取得が会社の義務(2019年〜)
有給の時効
2
付与日から2年で消滅

2019年4月から、年10日以上の有給が付与された労働者に対して、会社が年5日の有給を取得させることが義務化されました。これを守らない会社には罰則があります。

「繁忙期は取れない」「人手不足で申請できない」という職場の雰囲気は、会社側の問題です。有給申請を理由に不利益な扱いをすることは、労働基準法で禁止されています。

時季変更権について
会社は「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、有給の時期をずらすよう求めることができます(時季変更権)。ただし「取得させない」ことはできません。「来月にしてほしい」とお願いするのは合法ですが、「うちでは有給は無理」は違法です。

サービス残業は「当たり前」じゃない

整備業界では、開店前の準備・閉店後の片付け・朝礼前の車両確認など、タイムカードを押す前後の時間が実質的な労働になっているケースがあります。これは賃金が支払われていない違法な労働(サービス残業)です。

アドバイザー_ヨッシー

ヨッシーの一言

「転職相談でこういった話は本当に多いんです。『朝のタイムカードより30分早く来るのが当たり前』『閉店後の片付けは打刻してから』——これを当然のこととして続けてきた方が、気づくと毎月10時間以上のサービス残業になっている。本人が疑問を持っていないことが、一番の課題だと感じています。」

サービス残業が横行しやすいのは、「みんなやっているから」「そういう文化だから」という職場の空気です。しかし、労働の実態があれば、賃金請求権は発生します。タイムカードの打刻時間と実際の労働時間が異なる場合は、記録を残しておくことが重要です。

サービス残業の証拠として認められる可能性があるもの:

  • 業務日報・作業指示書(時刻が記録されているもの)
  • 社用車の運行記録
  • 社内システムへのログイン・ログアウト記録
  • 上司とのLINE・メッセージのやり取り(時刻付き)
  • 駐車場の入退場記録

自分の職場を確認するチェックリスト

以下の項目を確認してみましょう。「当てはまる」が多いほど、労働条件に問題がある可能性があります。

確認

給与明細に残業代の内訳が記載されていない、または確認できない

確認

タイムカードの打刻時間と実際の出退勤時間が違う

確認

固定残業代があるが、それを超えた残業分が別払いされていない

確認

有給を申請すると「なぜこの時期に?」と上司に言われる雰囲気がある

確認

入社してから有給をほとんど(あるいは一度も)取得していない

確認

始業時刻より30分以上早く出勤することが暗黙の了解になっている

確認

就業規則を見たことがない、または見せてもらえない

「当てはまる」が2〜3個以上あれば、一度現状を整理してみることをおすすめします。必ずしも転職が答えではありませんが、自分の労働条件が法律的に正しいかどうかは知っておく価値があります。

最初の一歩——リスクゼロでできる確認

  1. 給与明細を出して、残業代の金額と欄を確認する
  2. 先月の実際の出退勤時間(タイムカード・スマホ記録)を確認する
  3. 2つを照らし合わせて、支払われているはずの額と一致するかを見る

この3ステップは誰にも言わずにできます。ここから「このまま働く」「職場に確認する」「相談してみる」を判断できます。

おかしいと思ったら——相談できる窓口

労働条件に疑問を感じたとき、相談できる窓口をまとめました。

労働基準監督署

全国の都道府県労働局に設置されており、残業代未払い・有給未取得・サービス残業などの相談を無料で受け付けています。「会社にバレるのでは」と心配する方が多いですが、相談者の情報は原則として会社に伝えられません(ただし調査が入った場合に匿名性を完全に保証はできない点は知っておいてください)。

総合労働相談コーナー(各都道府県労働局内)

厚生労働省が全国の都道府県労働局に設置している相談窓口。残業代・有給・ハラスメントなど労働問題全般を無料で受け付けています。最寄りの窓口は厚生労働省の公式サイトから検索できます。

トヨワクのキャリアアドバイザー

「転職するかどうかはまだわからないけど、今の職場の労働条件がおかしいのかどうか聞きたい」という段階からご相談いただけます。残業代・有給といった数字の話だけでなく、職場の雰囲気・人間関係・働き方の悩みもお話しいただけます。整備士専門のCAが、業界の平均的な労働条件をもとに現状を整理する手助けをします。相談は無料で、転職を強要することもありません。

よくある質問

みなし残業(固定残業代)がある場合、超えた分はもらえますか?
もらえます。固定残業代はあらかじめ一定時間分の残業代を給与に含める制度ですが、その時間数を超えた分は別途支払いが必要です。たとえば「30時間分の固定残業代込み」の場合、月45時間残業したなら15時間分の残業代が追加で支払われなければなりません。
タイムカードがなく、残業の証拠がない場合どうすればいいですか?
タイムカードがなくても、業務日報・社内システムのログ記録・スマートフォンのGPS記録・上司とのメッセージ履歴などが証拠として認められる場合があります。労働基準監督署に相談する際、これらをまとめて持参すると整理しやすくなります。
有給を取ろうとしたら「うちは取れない」と言われました。違法ですか?
基本的には違法です。会社が有給取得を拒否すること自体、労働基準法違反になります。ただし「この時期は繁忙期なので来月にしてほしい」という時季変更の依頼は認められています。「取らせない」は違法ですが「時期をずらしてほしい」は合法、という区別があります。
試用期間中も有給はもらえますか?
試用期間中は有給が付与されません。有給は入社から6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に初めて付与されます。ただし試用期間中でも社会保険や残業代のルールは通常通り適用されます。
残業代が払われていないことに気づいたら、さかのぼって請求できますか?
できます。賃金請求権の消滅時効は3年(2020年4月以降に発生した賃金から適用)です。つまり、3年前までさかのぼって未払い残業代を請求することが可能です。証拠となる記録が残っている範囲で、労働基準監督署または弁護士・社労士に相談することをおすすめします。
労働基準監督署に相談すると、会社にバレますか?
相談した事実だけでは会社に伝わりません。ただし、監督署が会社に対して調査や是正勧告を行う場合、会社側は「誰かが相談した」と気づく可能性はあります。相談時に「会社への調査は希望しない」と伝えることもできますので、まず相談だけして状況を整理することは十分可能です。
転職せずにこのまま働き続けるか悩んでいます。相談できますか?
もちろんです。トヨワクへの相談は「転職前提」ではありません。「今の職場の労働条件が適正かどうか確認したい」「転職すべきかどうか整理したい」という段階からお話を聞いています。結果として「今の職場で交渉する方がいい」という結論になることもあります。
家族に相談してから決めたい場合、どうすればいいですか?
まずCAとの相談を「情報収集」として使っていただくのがおすすめです。「今の職場の労働条件が業界平均と比べてどうなのか」「もし転職するなら何がどう変わるのか」を整理した上で、家族と一緒に判断していただけます。相談の内容を書き出してご家族に共有する、という使い方をされる方もいます。

まとめ:「当たり前」を疑うことから始める

残業代・有給・サービス残業に関する基本的な権利は、整備士であっても同じように適用されます。「整備士はこういうもの」「うちの業界はどこもそうだ」という思い込みで、本来もらえるはずの賃金を受け取れていない人は少なくありません。

まず自分の労働条件を正確に把握することが第一歩です。転職するかどうかは、その後に考えれば十分です。

「今の状況がおかしいのかどうかわからない」という段階でも、ぜひ一度ご相談ください。

実際にご相談いただいた方の中には、「転職はしないが、現職で残業代の確認を上司にしてみた」「有給の取りやすい職場を探し始めた」という形で、転職せずに動き出した方もいます。

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