【トヨタカローラ広島】2人のエンジニアが見せた、魂の3ヶ月。技を極め、心を繋いだ物語

トヨタカローラ広島
【トヨタカローラ広島】2人のエンジニアが見せた、魂の3ヶ月。技を極め、心を繋いだ物語

出場者インタビュー

トヨタカローラ広島
上田洋輝選手&松岡航太選手

上田 洋輝 選手 & 松岡 航太 選手

トヨタカローラ広島
 
年に一度、全国のトヨタサービスエンジニアが技術の粋を競い合う大舞台。
その舞台に並々ならぬ情熱を注ぐ、二人の男がいる。
トヨタカローラ広島の上田洋輝選手と、松岡航太選手だ。

取材で語られたのは、意外にも泥臭く、ひたむきで、人間味に溢れた闘いの記録。
そしてそれは、二人だけの物語ではなかった。
若き才能を信じ、その背中を押し続けた「チーム・トヨタカローラ広島」の物語でもあった。
トップエンジニアたちの覚悟
物語の主役は、上田洋輝(ウエダ ヒロキ)選手、そして松岡航太(マツオカ コウタ)選手。

共に29歳、現場の中堅エンジニアリーダーだ。
その上、「トヨタ検定1級」「自動車検査員」「1級自動車整備士」という、誰もが認めるハイレベルな資格をその手に持つ、若きトップエンジニアである。

そんな彼らの道が、会社の代表という一点で交錯した。
挑戦の動機は対照的だった。

「あの舞台に立ちたい」
かつて先輩が挑んだ姿を目に焼き付け、自ら名乗りを上げた上田選手

「君ならできる」
周囲からの厚い信頼と推薦を背負い、覚悟を決めた松岡選手。

それぞれの想いを胸に、二人の日常は一変する。
通常業務を離れ、ただひたすらに技術を研ぐための3ヶ月間。それは、過酷な闘いの始まりでもあった。
「了解」を「OK」に変えた日
「うまくいかないことも多かった」

上田選手は、短くそう振り返る。個々の技術は一流だ。だが、ペアとして高みを目指すには、それだけでは足りなかった。

彼らはコンビネーションという見えない壁を乗り越えるため、言葉一つさえも研ぎ澄ませていった。

上田選手が明かしたエピソードが、その凄絶さを物語る。滑舌に自信がなかった彼は、相棒の松岡選手へ0.1秒でも速く意図を伝えるため、言葉を変えた。
「了解」を捨て、より短く、鋭く伝わる「OK」へ。

その一語の変更にこそ、相棒と完璧に繋がろうとする執念が宿っている。それは、会社の代表として立つ者の、静かで、しかし熱い覚悟の表れだった。
孤独じゃない、仲間がいる
「ありがたい分、プレッシャーもありましたね」

松岡選手の言葉通り、期待の重圧は常に彼らの肩にあった。

そんな二人の闘いが、孤独なものではなかったことを示すエピソードがある。
練習拠点には、連日のように同僚たちが顔を出したという。その手には栄養ドリンクや、小腹を満たす差し入れが抱えられていた。

それは、言葉にならないエールだった。
「お前たちは一人じゃない」

現場で待つ仲間たちがいる。その温かい想いが、重圧を力に変え、「優勝したい」という決意を、チーム全員の願いへと昇華させていった。

仲間たちの支え
すべてが繋がった時間

そして迎えた決戦の日。

背負っていたのは、自分たちの誇りだけではなかった。

トレーナーの教え、仲間たちの声援、その全てを力に変え、二人は競技に臨んだ。

練習で培ってきた連携が、最高の形で発揮される。上田選手が口にする「OK」という短い応答。それに呼応するように、松岡選手は相手の動きを読んで作業を進める。

3ヶ月という時間が築き上げた信頼が、二人の動きを淀みなく繋いでいった。

「やりきった」
競技を終えた彼らの胸には、澄み渡るような充実感が満ちていた。

金賞受賞の瞬間
 

栄光の、その先で

そして発表された結果は、「金賞」。

その吉報は、二人の3ヶ月間の努力が報われた瞬間であり、同時に、彼らを信じ、支え続けたチームの喜びが爆発した瞬間でもあった。

しかし、栄光の余韻に浸る間もなく、彼らの視線はすでに次を見据えている。取材の最後に、今後の目標を尋ねると、驚くほど実直な言葉が返ってきた。

「体が続く限りは、ずっと現場で働きたいなとは思います」
と語る上田選手。

「整備士としてずっと続けていけたらいいなと思います。その中でも、トップクルーなどを取って、活躍していきたいなと思ってます」
と続く松岡選手。

彼らが帰る場所は、特別なステージではない。
お客様が待つ、いつもの現場だ。金賞という勲章は、ゴールではない。
それは、彼らの技術力の証明であり、お客様の愛車を生涯守り続けるための、通過点に過ぎないのだ。

作業風景
 


上田洋輝選手、そして松岡航太選手。
広島には、こんなに熱い男たちと、彼らを支える温かいチームがある。
もしあなたの車の整備を彼らが担当することがあれば、思い出してほしい。
その手の向こうには、日本トップレベルの技術と、それを育んだチームの誇りがあるということを。